他人に恋愛感情を抱けない「アセクシャル(無性愛者)」。その感覚と苦悩を聞いてみた

らぶりりライターのナナシロです。

突然ですが、みなさんは恋をしたことがありますか?

  • 「恋愛メディアを読んでいるんだからもちろん恋をしたことはあるよ」
  • 「そもそも恋をしたことない人なんていないんじゃない?」

みなさん、きっとそう言うのではないでしょうか。

 

では、もし世の中に、他人に恋をすることがなく、他人と性行為をしたいと思うことがない人がいると言ったら、みなさん信じられるでしょうか?

 

恋愛感情を持たない人「アセクシャル」

アセクシャル(Aセクシャル)、あるいは、日本語で無性愛者と言われる性質の人たちがいます。

彼らは恋をすることもなく、性行為をおこないたいと思うこともありません。

 

アセクシャルの感覚は、アセクシャルではない人には想像しづらいものかもしれません。

もしあなたが異性愛者であれば、自分と同性の人に恋をすることはないと思いますが、アセクシャルの人はその感覚が男女両方に対してある、と考えるとまだイメージしやすいと思います。

 

決して多くはありませんが、全世界の人口の1%がアセクシャルとも言われているので、みなさんの身近にも一定数いるはずです。

そして実は、僕が昔付き合っていた恋人がアセクシャルでした。

 

僕の昔の恋人・Sさんはアセクシャルだった

恋愛感情が分からない

現在30歳のSさんとは10年ほど前にお付き合いしていたのですが、別れてからも友人として仲良くしています。

そんな彼女は、当時僕からのアプローチで付き合い始めたのですが、その頃からすでに異性愛者とは違う感じがしていました。

 

例えば、付き合っているときに僕のことが好きか聞いてみたところ、

「うーん……好きだけど恋愛としてなのかは分からない

と言われました。

 

僕がショックを受けていると、彼女は申し訳ないと思ったのか、「親友の○○(女性)の次には好きだよ」「男性の中では一番信頼している」とフォローしてくれました。

ですが、男性も女性も同等に扱っているところからも、彼女はよく恋愛感情が分かっていなかったのだと思います。

 

なぜ性的なスキンシップをとるのか分からない

また、恋人同士のスキンシップについても、Sさんは僕がそれまで付き合ってきた女の子たちとちょっと違っていました。

 

僕は彼女を愛していたので手を繋いだり抱き寄せたりしていたのですが、なぜ僕がそういうことをするのかはピンときていないようでした。

(一応彼女は特にそれを拒絶することなく身を任せてくれていました。)

 

僕がセックスに誘ったときもやはりSさんはよく分かっていなかったようです。

ホテルの部屋で僕が「上脱ごうか」と言うと、彼女はバッと服を脱いで下着だけになり、「次はどうするの?」と聞いてきました。

そんな感じでセックスを進めようとする子は初めてだったので、僕は面食らってしまい、結局その日は一緒にベッドに入って話をしただけで終わりにしました。

 

それからまもなく僕は耐えられなくなってSさんと別れたのでした。

 

これは後にSさん本人から聞いたことですが、付きあっていたときの彼女は分からないなりに僕の恋愛的な好意に一生懸命応えようとしていたそうです。

僕がセックスに誘ったときも、セックスをすることでもしかすると自分の恋愛感情や性的欲求が花開くかもしれない、というすがるような気持ちで応じたようです。

 

実は別れてから数年後にもSさんと連絡をとる機会があり、そのときに彼女は「社会経験としてセックスをしてみたい」と言っていました。

そこで改めて僕とセックスしてみることになったのですが、いざ挿入しようというときに彼女が痛がったため断念しました。

このときも彼女は、もちろん分からないがゆえの興味はあったそうですが、何より「もしかするとこれをきっかけに世界が変わるかもしれない」という願いがあったそうです。

 

アセクシャルの苦悩と性への関心

当然のことですが、アセクシャルは病気ではないため、治る/治すといった話とは別次元の問題です。

おおよそ生まれもっての特性と言って良いものだと思います。

ですが、Sさんはアセクシャルと自覚をしている今でも恋愛や性行為に興味があるそうです。

その理由について聞いてみました。

 

理由1.他の人が当たり前に抱いている感情を理解できないのが寂しいから

興味を持つ理由の一つは、「他の人が当たり前に抱いている感情を理解できないのが寂しいから」だそうです。

恋愛感情がよく分からないながらも僕と付き合おうとしたのは、そういう気持ちもあったからのようでした。

 

Sさんは、周りに流されず自分の考えやスタンスを持っていて、誰かと群れることのないロンリーなところのある方です。

ですが、いかに彼女がそういう方であっても、小説や映画、アニメなどのエンタメ作品で当たり前のように扱われている恋心や、周りの友人たち全員が楽しそうに話している恋の話などが、どうしても分からないことは苦しいことだったようです。

 

少し話がずれますが、アセクシャルの人の中には、物心がついた頃から性的なスキンシップに気持ち悪さを感じていたり、一方的に思いを募らせてきた相手と揉めた結果トラウマとなって恋愛や性行為に嫌悪感を示している人も多いです。

(僕はSさんの他に3人ほどアセクシャルの方に会ったことがありますが、3人とも性行為に嫌悪感があるようでした。)

その点、Sさんは過去にそこまで大きなトラウマになる出来事がなかったことや性的なスキンシップに対する嫌悪感がなかったことから、今もなお興味が持続しているようでした。

 

理由2.異性愛者でありたいという願いにすがっているから

Sさんが今もなお恋愛や性行為に強い興味がある理由は、「異性愛者でありたいという願いにすがっているから」ということもあるようです。

これまで普通に生きてきて恋愛感情を抱けなかったので、なんとか性行為をきっかけに、「自分が異性愛者であると確認して安心できたらいいのに」と思うそうです。

 

Sさんがそこまで異性愛者でありたいと願うのは、不便ということがあるようです。

これはアセクシャルに限らず他のセクシャルマイノリティーでも同じだと思うのですが、社会から異端として扱われるということは想像以上に生きにくいものです。

周りの友人などからは理解があったとしても、社会全体でみれば偏見が強く無理解が多いため、「願わくばマイノリティーというレッテルを貼られたくない」というのがSさんの素直な気持ちです。

 

そういう願いもあって、やはり恋愛感情や性的欲求を抱きたいという思いが強く、最近では同性との性行為を試してみたいそうです。

Sさんいわく、

「同じ女性の体を持っている者同士なら、もしかしたら私の性欲や恋愛感情を引きだしてもらえるかも

とのこと。

 

余談ですが、アセクシャルの方は特定の他者へ向けて性欲が湧かないだけで、人によっては自分で性欲を処理している方もいるようです。

ちなみにSさんの場合は、もともと自発的な性欲がほぼないため、自分で処理をすることはないようです。

 

アセクシャルだから愛がないわけではない

最後にSさんは、

「アセクシャルだからといって友愛や家族への愛がないわけではない

と言っていました。

恋愛感情が湧かないことと、友達や家族への愛情の有無は別のもの。

アセクシャル=好きが分からない人、という捉え方をすると、冷血な人だと誤認されかねないので、アセクシャルの方はそれについても気にされている方が多いです。

 

もしアセクシャルかもと思ったら……

ここまで読んだ方の中には、なおも「恋愛感情がない人なんて信じられない」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、事実として恋愛感情を抱いたり誰かと性行為をしたいと思ったりしない方はいらっしゃいます。

そしてアセクシャルであることで周囲からの理解がなく、苦しんでいる方も多いです。

 

もし自分の恋人や、自分が片思いをしている相手が、僕の昔の恋人Sさんのような反応だったときは、この記事を思いだしてください。

世の中には恋愛感情が分からない方もいます。

体を触ったり触られたりセックスをしたりしたいと思わない方もいます。

 

「私と付き合えば分かる」「俺と寝てみれば分かる」と思いこまないでください。

また「愛情が分からない冷血な人」という誤った捉え方もしないでください。

 

そして、今読んでいる方の中に「自分はアセクシャルかもしれない」と感じる方がいたら、ぜひインターネットなどで情報を集めてみましょう。

SNSで他のアセクシャルの人と交流をもってみるのも良いかもしれません。

昨今は、昔と比べるとまだ自分のセクシャリティーをきちんと主張している方が増えたので、もしかすると恋愛とは違うにせよ、信頼できる居心地の良いパートナーと出会えるかもしれませんから。

 

こちらの記事もあわせてどうぞ

▼らぶりりーすのおすすめ特集はこちら!▼
恋活アプリランキング

▼この記事を今すぐSNSでシェアする

ABOUTこの記事をかいた人

ナナシロ

アート、ホラー、面白系コンテンツの企画屋。Webクリエイター。怪談師。アートサロン『Artfans.jp』主催。添い寝屋。 自分にしっくりくる生き方を探していたら『らぶりりーす』にたどり着きました。 ツイッターで恋愛相談に乗っています。